2022年度 秋の研修会(講演会)

 

     日本人の「虫愛づる」歴史を紐解く

     講師: 八木 孝司 氏   大阪府立大学名誉教授・大阪公立大学客員教授

 

    ※ 開催しました

 


 

2022年度秋の研修会を、ひと・まち交流会にて開催。21名の参加がありました。
講師は、大阪府立大学名誉教授・大阪公立大学客員教授の八木孝司氏です。
氏は分子細胞遺伝学の研究者であると同時に、幼少時からの虫好きが高じて、多くのチョウ愛好者と関わり、チョウの論文を書かれ日本昆虫学会「学会賞」を受賞されています。万葉の時代からの人々と虫との関わり、日本人の「虫好き」の育つ経緯を文学、文献より紐解き、専門の遺伝学も絡めた興味深いお話を拝聴できました。
先生のチョウへの情熱が伝わる楽しい講演でした。

 

 

《当日の風景》

 



 

《当日のご案内》

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日 時: 2022年10月15日(土) 13:30 ~ 15:30

会 場: ひと・まち交流館  第4会議室

     〒600-8127
       京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83番地の1

                                                          (河原町五条下る東側)
                      電話  075-354-8711

 

対 象: 佐保会員 および 佐保会員外(一般)

定 員: 45名

参加費: 500円(資料代)

申 込: E-mail  wednes562sn@gmail.com

          件名:「秋の研修会」と記入

     記入事項 ①住所 ②氏名 ③電話番号(当日確実に連絡のつくもの)

           (佐保会員は)④卒業年 ⑤学部名

 

            ※  申込メールへは、京都支部(上記アドレス)から確認のため、返信いたします。

                数日が過ぎても返信がない場合は、お手数ですが、再度のご送信をお願いいたします。

     

申込締切:10月10日(月)

          

 

  ★当日体調がすぐれないときは、休んでください。マスクの着用をお願いいたします。

   ★飲み物は各自でお持ちください。 身体的距離を確保した座席におすわりください。

 

  ★今後の状況により対面ではなくZoom等のリモートによって開催する場合があります。

 

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《概 要》

今でこそ虫取り網を持って昆虫を追いかける子供たちは少なくなったものの、「虫取り」はひと昔前は当たり前の日本の夏の風景であった。今でも虫取り網、虫かご、昆虫飼育セットなどがホームセンターで売られているが、こんな国は日本をおいて他にあるだろうか。私は小学1年生の時に初めてクロアゲハを捕まえ、夏休みの自由研究でチョウの標本を作って賞状をもらった。それ以来昆虫少年になった。大学では分子細胞遺伝学を研究し、昆虫とはほとんど関わりなかったが、「趣味の研究」と称して多くのチョウ愛好家と関わり、その人たちとチョウの論文を書いているうちに、日本人の「虫好き」の奥深さを知り、彼らの起源を考えるようになった。万葉の時代より人々は季節の変化に命の移ろいを感じ取り、文字に残してきた。花以外にも鳥、ホタル、鳴く虫などが和歌や物語に登場する。それらには、江戸時代に本居宣長が看破した「もののあはれを知る」という概念、昭和には川端康成が「美しい日本の私」で考証した、自然に対する独特の精神文化が現れているといえる。それらの背景があったがゆえに、江戸後期から明治初頭にかけて西欧からもたらされた博物学が日本人の「虫好き」を育て、多様な昆虫を絵と文字で科学的に記載させたのであろう。これらの日本の「虫好き文化史」について私の雑学を紹介したい。

 

 

 

《当日のポスター》